地方自治論レポート

990142 中澤 匠

 

松本市のキャンプ地誘致までの経緯

市長答弁より

「実は、今議員からもご説明ございましたように、当初私どもは、この種のものは最初から自治体が旗を振ってやるべきではない、むしろ、まだそのときはアルウィンと申しますか、サッカー場もできないときでございましたから、静観しておりました。しかし、松本の財界が、これはせっかくサッカー場もできることだから、しっかりキャンプ場に誘致して、そして活性化に努めたいという話になりました。

 もう四、五年前でございますが、こんなことを言っては恐縮でございますが、本当にまだまだのうちにそんなことはできないと思ったんですが、助役の同級生が私のところへ来て、これは市長、やった方がいいという、まだ本当に雲をつかむような話で、そんなことはできないということで受け流しておりましたが、そのうちにだんだんと経済界が本腰を入れてまいりまして、我々がやっていくから、物になったら市長が先頭に立ってくれ。それまで我々が露払いの役やいろいろなことをやっていくからということで、このことがなされたわけでございます。

 今もお話ございますように、このもとは、平成10年9月8日に松本商工会議所コンベンション推進委員会開催によりまして、活動の方針が決まりましたり、また、9月9日には商工会議所の常議員会によりましてキャンプ招致が決まり、そしてまた、平成11年8月、それから1年たってようやく県知事、県教育委員会、土木部へ要請する。また、これは平成11年8月24日の同じ日に、私のところへも要請に来たということで、私どもが正式に要請を承りましたのは平成11年8月24日、県と私どもが同時に要請を受けました。したがって、それより約1年前から商工会議所は準備をしてきたということでございます。したがって、商工会議所といたしましては、私ども県と松本市は同一にお願いし、もちろん県の施設をお借りするわけでございますから、そのようなことになろうかと思います。そこで、平成11年9月には、ワールドカップサッカー大会松本キャンプ推進協議会を設置いたしました。商工会議所の会頭さんが責任者になり、名誉会長に知事、副会長に私ほかということでございました。

 これでわかるわけでございますが、そのときの予算が県と市、商工会議所がそれぞれ応分の分担をいたしました。平成11年から13年度までそれぞれ毎年、県が130万円、市が130万円、商工会議所が260万円、年間予算が520万円でこの仕事をしたわけでございます。

 そこで、構成員といたしまして今のことでございますが、名誉会長が平成11年から決まり、12年になり知事がかわりましたので、田中知事に要請し、知事もお受けしてきているわけでございます。また、私はそのまま受けているわけでございます。また、顧問には長野県の副知事が職務的になっておるわけで、参与につきましては、県の教育長、土木部長、建設事務所長、地方事務所長、委員には教育次長がなっております。ですから、県の関係も私どもと全く同じ視点の中でこのことを進めていただいております。

 ここでだんだんと具体化してくるわけでございますが、私どもといたしましては、今申し上げたように、逐一県とご相談をしてきております。そのご相談した要項を見ますと、実は、平成13年3月17日が初めて、昨年の3月17日でございますが、伊那文化会館において知事に協力要請をいたしました。これは、私も開かれた市政をやっておりますし、知事ももちろん、マスコミその他がずっとついているという中でございますから、開かれたということでございますが、これは、非公式にやることが相手に対して常識であるということで非公式にいたしました。と申し上げますことは、全国の80を超す誘致する市町村が、それぞれの世界に向かって強そうなところと接触してくる、これが常識のようでございます。

 これに対して商工会議所の専務理事が3回行った経過として、勝ったならば、あるいは、パラグアイは初めから、そのときは出ておりますが、一番最初はパラグアイでなくて、もっとほかの南米の方々へ行っているわけでございますが、そのうちパラグアイに絞られてまいりました。パラグアイは、ご案内のように世界ランキング14位ということで、そのときも、南米地域の4つですか出る中の2番目にランクされておりますから、ほぼ必ず出られるであろうと。

 しかし、これを内緒にしたということは、まだ世界的に出場が決まっていないうちに、日本のキャンプをするとかしないと決めることは、もうルール的に本来間違っているわけでございます。しかし、間違っていることをどこでもやっているということで、半分はそれは公然の秘密かもしれません。しかし、どこのチームのためにどうだということは申し上げられないということで、これは知事もそういうことで理解されまして、3月17日にそういうことで申しました。

 実は、私がここであえて申し上げますことは、そのうちに、私1人でなくて、商工会議所の会頭とか、あるいは、もちろん知事が名誉会長、私が副会長というときでございますが、知事との接触でございますから市長行ってくれということで、商工会議所の会頭が私と同席いたしました。

 実は、私がその折に言ったことは、大体もう予算書ができて進めているわけでございまして、今提示している予算書とほぼ同じものを、支出から含めてこれからの見込みを申し上げたんですが、その折に、この事前活動費が1,300万円ばかりかかっているわけですが、これは県民益にそぐわない、あるいはまた契約金も県民益にそぐわない。できるのは、フレンドマッチとサッカークリニックじゃないかというような、そのときにもうこのことが言われました。ちょっとかたいな、しかし、知事さん、事前協議や契約がなければ来れないわけだから、ぜひそれを考慮していただきたい、こういうお話をしてきました。知事はそのときには、初めてでございますから、そう言っても、ほかのことは、県政会がこんなものを出したって認められないと言いますから、県政会なら私の方でまたお話をしますからと言ったら、いや、県政会は認められませんよということで、昨年の2月県議会の最中でございまして、今より一層県議会との亀裂が大きいときでございますので、それを申し上げていました。1回目でございましたから、そのことでございます。

 3月21日にまた知事に電話連絡をして要請いたしましたり、また3月27日にも同じように知事に連絡いたしました。それで、8月10日には、知事が松本へ来た折に、知事と語ろうの席上、サッカー少年団が松本キャンプへの要望を強く知事に申し上げております。

 それから、その後も若干ございましたが、公式には、平成14年1月7日に県庁で知事、副知事に協力を要請いたしました。その折に、私に知事は、今要請されても、市長さんが契約したときの−−もうそのときには実行委員長になっておりますから−−ご報告がありません、こういうご返答で、私は本当に意外でございました。契約したということは、パラグアイの会長が来た12月3日を指すわけでございまして、私は、ことしの1月7日ですし、契約したのは昨年の12月3日でございます。それを指すわけでございますが、私どもそのときには、県から宮尾教育委員会次長が来ております。サインに立ち会ってくれ、祝辞も言っているわけでございます。したがって、祝辞を言い、サインに立ち会い、県議会議員が全員いる、建設事務所長も来てくれています。県の出先が来ているにもかかわらず、私が報告しないということはいかがなものかなということで、そこで大勢マスコミの皆さんがいるから争う必要はないということで、助役から記者会見でその一部始終を1月7日に申し上げたところでございます。

 その後、1月24日に県庁で知事に協力要請をいたしました。そこでもなかなかしっかりした返事がなかったわけでございます。一般的に、私もその後テレビ、雑誌等で見ますと、知事の−−ここだけははっきりして、私どもも議会でございますし、市民の税金を使うことでございますから申し上げたいと思うのでございますが、フレンドリーマッチのお金の一部、そしてサッカークリニック教室の一部、それの850万円でございます。

 一般的に見れば、サッカーのパラグアイが来て、そのフレンドリーマッチのお金を出す、そして、生徒への教育は満額出す、これは非常にきれいに見えるわけでございます。きれいに見えるわけでございますが、その間、本当に助役も一度行き、そして教育長も一度行ってくれましたが、南米やパラグアイまでは35時間ぐらいかかるわけですね。松本からの距離を入れると恐らく40時間もかかって、専務が行き、助役が行き、教育長が行く。1人行ったって、向こうのポルトガル語がわかるものではありませんから、通訳を連れていく、また紹介人を連れていく。それでルールでございますから、契約してくれる、中に入ってくれた会社の人も連れていく。契約はどういうものだとか、南米へ行ったことはどういうものであるとか。しかし、私ども契約の先のことは知りませんでしたが、契約の領収書はきちんととらえておりますから、1億円で契約しようが、2億円で契約しようが、今ありますように、野球選手、イチロー選手の何十億円というのも契約でございます。

 残念なのは、韓国での試合になったことは確かに残念ですが、これはくじ運が悪かったわけでございまして、私は、韓国でやるから、ひょっとすれば松本は嫌だと言われるかと思いました。これもくじで負けたのだからしようがないと思いましたら、向こうでは、松本の皆さん、市長さんとも心の触れ合いになったから行くことにします、こういうチラベルトの話でございまして、ああ、信義を重んじる人だなと。特に親日的なお国柄−−私は、正直言ってパラグアイに行ったことはありませんが、私はブラジルまでは行きましたが、パラグアイは知りません−−だということでございまして、誠意を持ってきてくれたことには喜びたいと思います。中身は、契約というものは、くじを引く前に契約でございますから、それを「韓国に行ったらば効果が少ないですからね」というような客観的なことを知事が言われるよりは、「残念ですね、本当に来てくれれば。まあ頑張りましょう」という、ともに汗をかいていただきたい。

 確かにそれは、韓国に行くより、日本で試合をしたならば、恐らく1月以上、ずっと行ったり来たりするでしょう。しかしこれは、厳正なテレビの見ているところで釜山となったわけでございます。私もテレビの画像を食い入るように見て、みんなで落胆いたしました。しかし、そうなったらそうなったで最善を尽くすしかしようがないと思うんですが、それを「ないですね」で一笑し、そして、そういうことを報道してくれたマスコミもございますが、助役、教育長、専務理事等が南米まで行って、そして間に入る人が苦労をしてようやくそうなってきた。そのことの努力は一つも、そう言葉で慰めてもらわなくてもいいんですが、しかし、それは、名誉会長である知事と、副会長である私とは共有してもらいたいと思うんです。

 私は、本来ですと6,000万円ぐらいということでございましょうが、その2,000万円はまた何か考えるとしても、少なくとも4,000万円ぐらいのことはどうにかしなければいけないということでお願いいたしました。今申し上げただけでも、4,000万円の寄附のものに対して、最後の最後まで説明不足だと言われれば、私はこれ以上の説明はできない。

 この前、議員協議会で、領収書を焼くようなことはしてはいけないというようなご指摘もございました。そんなことは一切するものではございません。全部の求められる領収書はすべてございます。しかし、再度申し上げます。契約金であると、中に介して入った人のその領収書が、それによってくることですから、それまで、その契約金のことは、これは向こうのことでございますから、これはもう大人社会ならわかることでございます。したがって私は、今回につきましては誠心誠意、金額ではありませんが、この種のもので、これだけやって、これしかということは、やはり冷たい県政だなと思わざるを得ません。もっと一緒に県民益に立ったならば、悲しむときは悲しむ、喜ぶときは喜ぶ、血の通った県政、市政でありたい、かように思うわけでございます。

 私は決して田中知事を憎むものではございません。松本農学校を出て、松本に関係ある知事であるから、一緒に知事と共有をしたい、いい県政をやってもらいたい。いい県政をやってもらいさえすれば、いい市政ができる、こういう祈るような気持ちでおるわけでございますが、今のことはそのようなことでございます。

 ちょっとくどくなりましたが、せっかくのご質問でございますし、我々としては、むしろ最初のときは県から、地方事務所は名誉会長を午前中にお願いして、午後に私のところへ、副会長はこうなったから承認してくれと来た、その中でございます。いつの場合にも代理人は来ております。

 ただ、ここで申し上げたいことは、県の体育課長とか、総務部長とか、その他の関係の方は、まことに申しわけない、できることだけはやるから頑張ってやってくれ、広告についても何とか考えるということで、温かく−−知事以外と言えば大変口が悪いわけでございますが、関係の皆様方はそのようにしておりますから、私どもの気持ちというものは、大方の県の職員、関係者は理解してくれている。しかし、最終的に判こをつく人は知事でございますから、850万円なら850万円きりいたし方ないことである、このように思っておりますから、ぜひこの際、議会並びに市民の皆様方からご理解をいただき、こういう中でも我々としては、たとえキャンプで1日きりになったとしても、それが契約でございますから、1日が2日になり、2日が3日、10日になる、その中の最大限を尽くすようにしてまいりますし、市民の皆様方にもご理解いただき、議会の皆様方にもぜひお願いしたいと思います。」

・平成10年にキャンプ地誘致が決定

     その後、知事が代わって、この計画に対しての県からの支援が大幅にダウン

     コンベンションに対する市の意向と知事の考え方の対立

 

結果、無事終わったが、経済効果については厳密には発表していない。

地域に対する経済効果以上の恩恵を強調している。

インタビュー

松本市コンベンションビューローと市役所、商工会の関係

松本コンベンションビューローは松本市役所の観光温泉課と商工会の経済部の職員がメンバーとなり発足している任意団体である。設立は市役所と商工会がともに負担金を出しあい、設立された。当初は旅館組合もお金を出していたが、今は会員として援助している。事務所は市役所内にも商工会内にもあるが、分かりにくいため商工会の事務局に一本化している。メンバーは兼任となるため、12人となるが、実質的に活動するのは1人ないし2人のコンベンションプロジェクト担当者になる。

 キャンプ地誘致との繋がり

松本市にキャンプ地を誘致するために松本商工会議所コンベンション推進委員会が動いた。

この委員会には多くコンベンションビューローの職員が関わった。

松本市におけるコンベンション誘致の目的

松本市のシティセールス、知名度の向上による観光客誘致による地域の活性化